The Outer Limits



著:竹内義和
『ウルトラマンの墓参り』

たまには読書感想文なんぞを・・・



まず、本書に“M78星雲からやってきた、お節介な宇宙人のウルトラマン”は登場しない。
一切、円谷プロダクションは関係しない。
舞台は世田谷でもない、大阪は京橋。
始終おたくっぽい話があるわけでなく、どちらかといえば青春モノなのだが、たまに、読んでいて「ニヤっ」としたくなる一文がある。

『アウター・リミッツ』の邦題がもう一つあった事、知ってる?
わかる人なら、本書を読むとノスタルジックに浸れるはずだ。
別にそれがわからなくても、一冊の小説としても非常に良く出来ていて、丁寧に伏線が張られ、それらをキッチリまとめる最終章。
460ページに収められた立派なエンターテインメント。あまり本を読まない俺も、通勤途中にだらだら読むつもりが、正月あけて読み始めて、もう読み終えてしまった。

時代は昭和40年代・・・二十歳になってもウルトラマンも、ゴジラも卒業できないでいて、ましてや朝の帯番組が見たいからと言い高校にも行かず、パチンコに明け暮れて大学にも行かなくなった結果、家を飛び出した成年が主人公。
和歌山の実家から大阪へ家出して下宿暮らしを始めた主人公だったが、そこから働くわけでもなく、ただ時間を浪費していた。
下宿先の家賃や食費に困った主人公は、下宿から電車に乗って少しいった場所にあるパチンコ屋で一儲けしてお金を稼ごうともくろんだが、ギャンブルにも、勝負にも負けてしまう。
主人公はそこのパチンコ屋の従業員の青年と運命的な出会いを果たす。
青年は主人公とは正反対な好青年なのだが、主人公と共通して「怪獣マニア」なのだった。
知性・肉体共に逞しい青年に憧れた主人公。そう、主人公にとって青年は“ウルトラマン”のように見えたのだ。まして、主人公は高校を出るまではウルトラマンに憧れていた。なれると思っていた。
青年は、主人公以上に「自分は今でもウルトラマンに憧れている」と言う。

さて、主人公は逃げてばかりいる自分に嫌気がさしていたこともあり、青年のように逞しくなりたいと考え、青年から指導を受けて体を鍛えることとなった。
青年にも考えがあり、同じ「怪獣マニア」の主人公をパチンコ屋も参加する夏祭りの出し物・・・「ウルトラマン対ウー」の着ぐるみの相手をさせようとしていた。
何故、よりによって“ウー”を選んだのか、主人公同様、俺も読んでいて疑問符が浮かんだ。
その訳は物語の根底にあり、青年が“ウー”を演じ、主人公が“ウルトラマン”を演じる理由も納得出来る理由が書いてある。

結末を先に書いてしまうと、夏祭りの「ウルトラマン対ウー」は実現しないのだ。
しかし著者が『ウルトラマン』に感じた正義と“ウー”がいかな怪獣だったかわかった上で物語りを進めていくので、本題としての『ウルトラマン』も登場している。
では、主人公演じる“ウルトラマン”と、青年演じる“ウー”はどう使われるのか。
どうせオビに書いてあるようなあらすじなのでネタバレもナニもなしに言うと、ウルトラマンとウーの着ぐるみを着た二人は、地元のやくざに「出入り」をするのだ。
何故そんな出で立ちで「出入り」をするかは是非、実際に本を手に取って知って欲しい。
そして、ウルトラマンは何故、墓参りをしているのかも・・・

正直言うと、冒頭を読んで最初はガッカリした。
たまたま母親が新聞の広告で見つけて、「ウルトラマンの本だ」という理由だけで買った。
まして、先に書いたように自堕落で逃げてばかりいる主人公の生い立ちから、話が動くまでがものすごく長く感じる。
けれど、話が動くと「マニア心」をくすぐる話題が出て来たり、短期間ではあるが主人公の成長や、青年とのやり取りの面白さもあって、期待を捨てない事にして最後まで読んだ。
『ウルトラマン』もプロレス(はあまり詳しくないが)も、どちらも期待を裏切らないものだと、俺は思っている。
いや、実際そうだろう。
ウルトラシリーズでは非常に残念で、期待しようのなかった作品もあるが、『空想特撮シリーズ ウルトラマン』という番組は、何はどうあれ最後はウルトラマンが勝利し、平和が戻る。それが、「期待を裏切らない」ものではないだろうか。
なにもウルトラマンに登場する怪獣は全てが邪悪とは限らない。自然現象であったり、単なる物の怪の類の場合もある。
それでもなんでも、ウルトラマンは怪獣をやっつけてくれる。
そんな期待を持って本書を読み進めていくと、冒頭の退屈な主人公の自堕落さは結末への伏線であったのだ。
そう考えて読むと、主人公にとっては逆転劇、青年にとっては復讐劇となる結末も含めてスペシウム光線でやくざをやっつけてしまうというのは、それはもう面白さの頂点となる。ああ、クライマックスって言えばいいのか。

稚拙な文章で面白さがちっとも伝わらなかったかもしれないが、俺にはこのへんが限界。
別にウルトラシリーズを網羅してなくても、初代ウルトラマン全39話見ていなくても、ああ、そうだね。ウルトラマンを全く知らなくても楽しめる一冊です。
是非・・・
by kenji_szmr | 2012-01-07 00:26 | diary


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