18.10.20

池袋の新文芸坐で『秋の夜長の 新文芸坐東宝特撮まつり』を見てきた。
上映ラインナップは『獣人雪男』『空の大怪獣ラドン』『大怪獣バラン』『宇宙大怪獣ドゴラ』の4本だ。
おそらく会場にいたほとんどの人が『獣人雪男』目当てだったのではないだろうか。
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『獣人雪男』のシナリオ自体は、その後も「よくある」怪獣映画のフォーマットで
日本の秘境に住む謎の生物(ここでは雪男)の謎と、それを発端とした事件、それに関わる宝田明、
また雪男を捕獲し見世物にしようと企む悪徳商品。

そこだけなら『モスラ対ゴジラ』も似たような話といえるし、
また「秘境の部落の住人たちは怪獣を信仰している」というところでいば、
同じく後年の『大怪獣バラン』にも言えることである。

むしろこのプロットは後年の怪獣映画に大きな影響を与えたというべきか、
あるいは短期間で怪獣映画を作らねばならない制作体制の都合、ある程度の流用がありきだったのか。
私もすべての怪獣映画を見ているわけではないので、徹夜明けの思考でぼんやりつないだだけなので、無責任な文章である。


ネットで見られる当時のポスターでは、雪男が5〜6メートルありそうだが、本編では等身大である。
また、常に雪男は悪役として暴れるようなことを「勝手に思っていた」のだが、実際はそうでなく、
秘境の部落の人々から「ヌシ(雪男)がいなくなればシカなどの食料がとれなくなる」と言った信仰もされていた。

単純に怪獣が暴れるだけはない、人がそういった存在をどう見るかという視点もある映画である。
だがしかし、現状映像ソフト化されない理由は秘境の部落の人々の描写のようだ。
動物の骨を供えた祭壇に祈祷するとか、なまりの強い言葉は特に問題ないように思えた。

60年以上も熱心に怪獣ファンをやっている人たちの言っているように、部落の「人々の描写」に問題があるようだ。
詳しい記述は避けるが身体の欠損であるとか、爛れた皮膚など、そうなっている理由付け(これもネットで調べるとわかる)が
いわゆる「封印作品」としている理由らしい。ただ差別ということだけではないのだな、とわかった。


上映されたフィルムは劣化が激しく、ところどころ切り取られているためか役者たちがワープしたりセリフが飛ぶ
さらには画面に傷が舞ったり途中で故障して上映中止になるなど、古い映画を見るというアトラクション体験もできた。
ただ、個人的にそのリマスターされた『獣人雪男』が見てみたいかというと、「別にそんなでもない」というのが正直なところだ。

これも「普通に見られない」という話が先行して興味が湧いたことで期待していたところではあるのだが、
他に近い例の『遊星よりの愛をこめて』や『狂鬼人間』のように、「見られないだけで、実際はそんな面白いわけでもない」
部類の映画にはいるのではないだろうか。面白くないわけではない。見どころはある。

最初に新聞記者が登山隊の取材に来て、それを順番に振り返っていくという見せ方は面白かった。
マタンゴ』でもやっていたが、最初にある程度「先が見える」のは、話がつながったときのハッとする感覚が好きだ。
しかし最後の「汽車が来ましたよ」でそそくさと帰っていくのは気の抜ける幕引きではないだろうか。

私も『怪獣映画』となれば、『ゴジラvs〜』あたりが年頃なのだがほとんど見ていない。
また怪獣・ヒーロー特撮全盛期の1970年代を生きているわけではないので1950年代の『獣人雪男』はどういうものか、
と考えたときに、どうもこうもなく『大アマゾンの半魚人』などに代表される『ユニヴァーサル・モンスター』シリーズに近いな、という着地点に。

近いもなにも、そういう時代の映画だろう。

さて、その後の『ラドン』『バラン』『ドゴラ』はそれぞれ異なるアプローチ、異なる時代の産んだ怪獣映画だった。
やけに具体的に町のなかの看板が大写しになる『ラドン』や、秘境の部落が舞台の『バラン』、スパイ映画の要素を取り込んだ『ドゴラ』。
特撮怪獣映画も時代によって変わるものだと、そういう発見のあり、また偶然会った友人と特撮談義をしたりと、充実の一夜であった。

観劇後は池袋駅でJRのホームにあがったところで人身事故で運転見合わせを知り、入場料を捨てて丸ノ内線に乗り換えて帰宅。

▽早朝の御茶ノ水。この景色を見るのも何年ぶりだったか。
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by kenji_szmr | 2018-10-21 15:07 | diary


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